『塩素で安心できますか?
循環式浴槽のレジオネラ菌対策』
高知県/ケアハウス すくも
施設長 藤田 卓也
近年、我々の高齢者施設等でのレジオネラ菌が原因による感染死亡事故が多発している。それも全て塩素殺菌方式の浴槽からである。無論、厚生労働省の生活衛生課のマニュアルに基づいた管理はどの施設でもされているはずであるが、ではなぜ感染が発生するのか?
それは、単に一言で言えば、規定の塩素量では完全に滅菌できないからである。そうすると、自然と塩素注入量も増え、人体に悪影響を及ぼし、またその高濃度塩素の排水は河川へと流れ込み、自然環境を蝕む。これでは今の塩素消毒一辺倒での方針では、問題解決への道は遠いと感じていた。そんな折、高知県内「T」という業者が開発した「完全オゾン処理方式」のろ過システムが、すでに使用されている施設から高い評価を受けていることを知り導入に至った。
この「完全オゾン処理システム」は塩素の6〜7倍の殺菌力があり、従来の塩素では処理できないウィルスや人体から出る垢や脂などの「フロッグ」、そしてレジオネラ菌や大腸菌、MRSA菌の細菌類を短時間で死滅・分解させ、飲料水レベルの清浄な水にして循環させるというもの。加えて、浴槽の喚水は数ヶ月に1回程度でよく、排水の水質も周辺の河川を汚染する心配は一切無いという信じられないシステム。そして実際、水道料金は大幅削減され、排水による自然環境へ及ぼす影響もほとんどなく、勿論レジオネラ菌感染事故発生の不安から解消された事は一番のメリットであった。また、設置の際は施設既存のろ過機へオゾン処理装置を付け加えるだけと、新設することなく無駄な出費も抑えられ、節水した水道料金分では機械のリース料は充分に賄えそうであった。
このような方法を取る事により、高濃度塩素であらゆる危険を冒しながら菌の増殖を抑えるのではなく、菌やその原因を元より絶ち、且つ自然環境にも配慮していく事は、ひいては地域の人々の生活や文化、そして自然環境を守るこれからの社会福祉法人のあり方を示せるのではないだろうか。
原文より抜粋
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