大阪の民間団体 24時間ぶろ利用推奨
民間育児団体の「育児文化研究所」(大阪府箕面市)が医師、助産婦の立ち会わない出産や助産婦検診の拒否などを会員に推奨し、七人の新生児が死亡していたことが二十八日までに、日本助産婦会の調査で分かった。厚生省は「母子健康上、非常に危険な行為」と判断し、都道府県や日本医師会など関係団体に通知を出して注意喚起した。
厚生省 注意を喚起
厚生省などによると、同研究所はセミナーなどを開催、医師らが立ち会わない出産や自宅での水中出産を推奨し妊産婦検診も不要と説明。
陣痛が突然始まっても対応できるようにと二十四時間ぶろを勧め、販売もしていたという。
調査は、育児文化研究所が関連する出産トラブルが二年ほど前から目立ったため、日本助産婦会が全国の助産婦を通じて実施。その結果、同研究所の指導などを受けて出産、死亡したケースが七件確認された。
名古屋市で今年六月、自宅の二十四時間ぶろを使った水中出産で生まれた女児がレジオネラ菌に感染して死亡したことが既に分かっているが、このほか昨年八月にも埼玉県で自宅の二十四時間ぶろを使って水中出産し、新生児が感染症で死亡していたことが判明。
群馬、埼玉、奈良、鳥取の四県では一九九二年から今年にかけて、夫婦だけで出産した骨盤位(逆子)の新生児が死亡しており、茨城県でも死因は不明なものの夫婦だけで出産した新生児が死んでいたという。
医師抜き出産を勧めたりする行為は母子保健法などに違反しないが、厚生省は「医師や助産婦がそばにいないと不測の事態に対応できず、二十四時間ぶろはレジオネラ菌などに感染する恐れがある」と判断。死亡例を踏まえて情報提供し、夫婦だけの出産の危険性を妊産婦に伝えることにした。
育児文化研究所は二十八日、留守番電話のまま連絡がつかない状態となっている。
以上。